第68回北海道歯科学術大会ワークショップのご報告

平成27年8月23日、札幌パークホテルで神奈川歯科大学大学院歯学研究科社会歯科学講座准教授山本龍生先生をお招きして、第68回北海道歯科学術大会ワークショップ(共催:北海道子供の歯を守る会)が行われました。以下に講演の要旨を紹介いたします。

日本では世界でもトップレベルの長寿国となりました。しかし、男女とも最後の約10年間は要介護に近い状態となり、日常生活に制限が出るといわれています。それを防止して健康寿命を延ばすことが課題となっています。 

認知症や骨折・転倒は要介護になる原因のそれぞれ約16%、約12%です。最近の研究で歯が不健康であると、その後に認知症や転倒・骨折になり易いことがわかってきました。その原因として、歯を失うことで咀嚼による脳への刺激が減ったり、栄養素が不足することもありますが、最近注目されているのは、臼歯部の咬合接触を失い、下顎骨が不安定になることで、体のバランス機能も低下し、骨折・転倒を起こしやすくしている可能性です。骨折・転倒がきっかけで寝たきりになると認知症も進行しやすくなります。歯の本数が少ないと、その後に要介護状態になる可能性が高くなることがわかってきたのです。 

歯を失う原因の約9割はむし歯と歯周病です。むし歯の予防にはフッ素入りの歯磨き剤による歯みがきやフッ化物洗口を行ってください。歯周病の予防には、歯肉の機械的なブラッシングが重要です。私達の研究で、ブラッシングを通じて歯肉に刺激を与えることで、歯肉の細胞の活性化され、歯周病菌に対する抵抗力が増大することが明らかとなっています。もちろん、歯間ブラシによる歯間部のブラッシングも大切です。 

健康寿命を延ばすためにも歯の健康を心がけることが大切です。