平成18年度第2回会員研修会 松本千明先生「健康に関する行動変容の考え方と現場への応用」

平成18年度第2回会員研修会が平成18年9月30日(土)北海道歯科医師会館にて、講師に松本千明先生をお迎えして「健康に関する行動変容の考え方と現場への応用」と題して行われました。

松本先生は札幌医大卒業後10年間内科医として臨床を経験したあと、生活習慣病、特に高血圧や糖尿病の患者さんがなかなか日常生活を改善することが出来ず、症状が悪化する症例を多く経験され心を痛めていたそうです。

どうやったら人は健康になろうとする行動をとりやすくなるのかを勉強すべく一念発起しアメリカ ミシガン大学で健康行動理論を学ばれてきました。

たくさんの理論の中から主に7つの理論を説明していただきました。 
 1.健康信念モデル(ヘルス・ビリーフ・モデル) 
 2.自己効力感(セルフ・エフィカシー) 
 3.変化のステージモデル 
 4.計画的行動理論 
 5.ストレスとコーピング 
 6.ソーシャルサポート(社会的支援) 
 7.コントロール所在

7つの理論をまとめると人が「健康によい行動を行う」ためには 
 1.そうすることが本当によいと思っていて  
 2.それをうまくやれる自信があって 
 3.健康面ではこのままではまずいと思っていて  
 4.それをする上での妨げが少なく 
 5.ストレスとうまく付き合っていて 
 6.家族や友人からのサポートがあり  
 7.健康は自分の努力で決まると思う 

そんな時に人は健康になろうとする可能性が高くなるということです。

先生がこの理論を無理なく覚えて現場に応用するために考えられた

「よい自信、まずい妨げ、ストレスに、 
             サポート受けて、努力のステージ」

このフレーズを基に具体的に中学生でむし歯の多い子を例にどのような働きかけが有効か詳細に解説して頂きました。会場からはたくさんの質問が寄せられ、活発な議論がなされました。

松本先生からはこの理論だけで簡単に人が変われるわけではないというお話がありましたが、健康行動に関して筋道を立てて考えられるようになった気がします。  (企画研修部 樋口俊夫)

講師略歴: 
 平成元年   札幌医科大学医学部卒業 
 平成元〜3年 札幌徳洲会病院勤務 
 平成3〜8年 自治医科大学内分泌代謝科勤務 
 平成8〜11年 徳田病院内科外来非常勤勤務 
 平成11年  大阪府立看護大学医療技術短期大学臨床栄養学科卒業 
 平成13年  ミシガン大学公衆衛生大学院健康行動健康教育科修士課程終了 

現在はフリーにて、医療と保健の現場に健康行動理論とソーシャル・マーケッテングを紹介する講演を中心に活動中 

著 書 
● 保健スタッフのためのソーシャル・マーケッテングの基礎 
● 医療・保健スタッフのための 健康行動理論の基礎 
● 医療・保健スタッフのための 健康行動理論の実践編 
● 当直医のための救急マニュアルー救急処置編 
● GO-WENT-GONE?ミシガン見聞録