第88回会員研修会開催のご報告

平成30年11月11日 市民活動プラザ星2F大会議室で会員研修会が開催されました。基調講演にも会員23名を含む59名が参加しました。午前は「生物進化からみる現代病ー今の子どもは保健課題が山積ーと題した基調講演、午後は、昨年に引き続き「達人」と「ひよっこ」が一緒に「これからの予防」について意見交換する予防塾と盛りだくさんの1日でした。

基調講演では元稚内保健所医療参事でいらした和田聖一先生から「生物進化」という切り口で現代の子供の健康課題のお話がありました。先生のお話は「達人」には、これまでの思考回路に一石を投じ、「ひよっこ」にはちょっと難しいが、自分のこれからの食生活や育児を考える時に大切な情報と受け止めたようです。参加できなかった会員の皆様、先生の「まとめスライド」を参考にしてください。

和田先生のまとめより 
■ヒトが進化の過程で変えた社会・環境などから新たな進化圧を受け、ミスマッチ現象としてヒトを悩ましている時代 
■学童期以降では、不正咬合、口の閉まらない児(口呼吸)、顎の退行、ガミースマイル等、顎・顔面の様々な退行現象が着実に進行している 
■乳児・幼児では、母乳の授乳の短縮化、指しゃぶり行動、成長と食べる機能発達とのミスマッチ、栄養を優先した過調理食事(雑食性の喪失)、おかしな食べ方をする幼児の増加、排便習慣の乱れ、早期の甘味物摂取によるむし歯の誘など、保健課題が山積 
■これからの病を引き起こす環境要因をそのまま次世代に伝え、病気が蔓延したり悪化することに任せ、何世代にも渡り生じるフィードバックループ(病気が悪くなる、更なる不具合が出る状況)となっている。(幼児のむし歯と親の喫煙、遅い起床就寝などなど) 
■祖父母は「ヒトの生き残り」に大きな役割(子育て)を果たしたとされるが、孫たちへの甘味物・甘味飲料の配給役となり、負のフィードバックループ(むし歯のリスク因子)を担う損な役回りとなってしまった 
■今後、子供たちを含め、体の不具合が、いつ、どこに、どのように現れるか予想はできませんが、「子供は行動・態度で不都合な状況を訴える」ことに着目することが課題抽出のヒントです 

午後からは予防塾です。 
「ひよっこ」×「達人」が混じった8つのグループがグループワークを行いました。 
歯科衛生士養成校や大学歯学部の学生さん(ひよっこ)と会員(達人)は真剣にグループワーク、会場は昨年よりは人数が少ないとはいえ、若さと熱気に変わりはありません! 

・・・企画1 コミュニケーショントレーニング(自己紹介)・・・  

吉田学園医療歯科専門学校歯科衛生学科の学生さんが作成してくれたビデオに出演していただいた3人の健康法を聞き、それに関するクイズに答えます。全問正解のグループはありませんでしたが、トップのグループには塾長の阿部先生から“豪華”百均景品が授与されました。 

(学生力作のビデオ)         (真剣!)       (塾長の阿部先生) 

・・・企画2 グループワーク・発表・・・ 

2世帯住宅(1階には糖尿病のおばあちゃん)に住む4歳の保育園児、北海まりもちゃんと共稼ぎで忙しいお母さんが、奥歯に 白濁を発見して「子どもの歯を守る診療室」を訪れます。治療には至りませんでしたが、これからを考え、歯科衛生士に生活指導が指示されたという設定です。 

「よりよい生活習慣指導は何か」をテーマにグループワークですが、ワーク前には北海道大学大学院歯学研究科口腔機能学講座小児・障害者歯科学教室の八若先生からグループワークの進め方について説明もありました。 

(熱演の劇団予防塾) 

いよいよ本番! 
熱心なグループワーク風景(全グル―プ掲載できず申し訳ありません) 

各グループ、生活背景を色々な切り口で検討した発表です。歯科衛生士の指導をセリフにして、寸劇で再現されました(下の写真の中の矢印の方がグループ代表で発表)時間の関係で全グループ発表できなかったのが残念でした。 

・・・講 評・・・  
最後は4人の先生から講評を頂きました。 

福田先生 
八若先生 
千葉先生 
和田先生 
守る会会員にとっては、昨年に引き続き、未来の歯科保健医療を担う人材と交流できる貴重な機会となっています。       
                      (文責:広報部 今村)