研修会のご報告

平成26年10月25日、北海道歯科医師会館5階会議室にて、「北海道歯科医師会の公衆衛生事業と方向性について」と題しまして、北海道歯科医師会元専務理事紺野純一先生、北海道歯科医師会常務理事松崎弘明先生をお招きして、研修会が開かれましたので、ご報告いたします。

当日は、出席者は本会会員を含む32名にご参加いただき、研修後には、質疑応答も行われ、盛会のうちに終了いたしました。

講師の紺野先生

講師の紺野先生 

紺野先生は平成13年1月から、北海道歯科医師会のフッ化物応用検討委員会の委員として活動され、平成14年に「フッ化物応用に関する北海道歯科医師会の見解」を作成しております。研修会では、当時の委員会の人間関係や内情についてまじえながら、作成までの経緯についてお話いただきました。また平成21年6月26日公布・施行の北海道条例第62号「北海道歯・口腔の健康づくり8020推進条例」の制定とその第11条効果的な歯科保健対策の推進の条例文中に「フッ化物洗口の普及」への道の措置が明記されていることについて、また北海道歯科保健医療推進計画の重点項目の一つとして「保育所・小学校等でのフッ化物洗口の推進」があげられていることについてお話しいただきました。 

また北海道歯科医師会の主な取り組みとして、第62回北海道歯科学術大会(平成21年8月23日)での「フッ素洗口シンポジウム」の開催、第65回北海道歯科学術大会(平成24年8月19日)での「フッ化物洗口推進ワークショップ」の主催、北海道教職員組合との懇談、フッ化物洗口普及研修事業の実施、「フッ素でぶくぶく」テレビCM、ラジオCMの製作、平成22年から23年度でのラジオ番組でのフッ化物洗口のアピール、「フッ素で歯ヂカラUP!」リーフレット作製、についてお話しいただきました。とりわけ『歯ヂカラUP』の文言には『歯の強化』と『端から(地域のすみずみから)強化』をかけた、紺野先生の強い思いがこもっているとお話しいただきました。 

今後の公衆衛生活動の方向性として、関係諸団体との協働活動の強化、イベント志向から対面活動による普及へのシフト、フッ化物洗口の目標設定の変更(現在の「道内の各市町村にて1施設以上実施」から「道内の全児童・生徒の50%普及」へ)についてお話しいただきました。 

講師の松崎先生

講師の松崎先生 

松崎先生は、北海道歯科医師会の常務事理として活動されております。研修会では、フッ化物洗口の推進における北海道、北海道教育委員会、北海道歯科医師会の連携についてお話しされました。 

北海道はフッ化物洗口推進への取り組みとして、北海道歯・口腔の健康づくり8020推進条例における第11条、北海道歯科保健医療推進計画の重点施策(平成22〜24年)、歯科保健医療推進のための施策における重点施策のそれぞれにフッ化物洗口の推進を明記しています。北海道教育委員会はフッ化物洗口推進への取り組みとして、推進指定校等の指定、研修会での周知・啓発、啓発資料の作成配布、関係諸団体への働きかけをしています。北海道歯科医師会の取り組みは、紺野先生のお話しされた通りとなっております。 

フッ化物洗口の実施市町村数は、全179市町村のうち、平成21年で実施28、未実施151だったのが、平成23年で実施90、未実施89と、平成25年末で実施159、未実施20と、着実に「道内の各市町村にて1施設以上実施」達成へ歩みを進めています。 

最後に、むし歯予防の最も優れた方法として水道水フロリデーションをあげ、その特徴として、最も経済的で効果的である、最も安全である、広範囲に恩恵をもたらす、生涯を通じてう蝕予防ができる、簡便である、平等に利用できる、との説明がありました。 

質疑応答では、1歳6ヶ月健診などでのフッ化物塗布の推進についてや、フッ化物応用推進の理念と予算の現実について、またTVコマーシャルの継続の要望など、活発な意見交換がなされました。(南出保)