羽越線事故2年 秋田県職員しのぶCD、共に活動した歯科医ら

山形県庄内町のJR羽越線で特急「いなほ14号」が脱線・転覆した事故から25日で2年。事故で亡くなった県職員臼井和弘さん(当時34歳)をしのぶCDの制作が由利本荘市民の手で進められている。白い歯を守るため「フッ素洗口」の普及に心血を注いだ臼井さんと共に活動した歯科医が作詞し、アマチュアバンドに作曲を依頼。「私たちは忘れない あなたがいてくれたことを」と歌詞に思いを込めたCDは来春に完成する予定だ。

臼井さんは、全国最悪レベルだった県内の児童の虫歯罹患(りかん)率を改善するため、2004年度から県の「お口ブクブク大作戦」を展開。虫歯罹患率が高かった由利本荘市の鳥海地域に何度も足を運んだ。

「熱心な人だった」と振り返る同市で開業する歯科医(48)は、虫歯予防を推進する鳥海地域の「元気な歯っこ協議会」のメンバーで、臼井さんと共にフッ素洗口の普及に取り組んだ。今年5月ごろ、「臼井さんの思いを伝えたい」と詩を書いた。「みんなの夢をのせてきらめく輝く白い歯すてきだね(中略)当たり前をいつまでも当たり前にありがとう」。タイトルは、子供たちに歯を大切にしてほしいというメッセージを込め、「まもりたい…永遠に…」と名付けた。

作曲は、鳥海地域を拠点に活動するアマチュアバンド「ホットライン」のリーダーで市職員茅野輝繁さん(49)が担当。10月下旬から本格的に曲を作り始め、12月上旬に、オルゴールの音が静かに響き、サビに向かって徐々に盛り上がっていくスローバラードを完成させた。

歯科医は「自分の体は自分で守る意識を身につけてほしい。それが臼井さんの願い」、茅野さんは「子供から大人まで口ずさめるメロディー。この曲が少しでも虫歯予防につながれば」と話す。2人は市立鳥海中学校の生徒たちに歌ってもらい、CDに録音する構想を練っている。 (2007年12月26日 読売新聞から転載)